マネーの洪水作戦 2013 4 21

書名 2013年、世界複合恐慌
著者 相沢 幸悦  朝日新聞出版

 遅まきながら、日本の中央銀行も、
FRB、ECB(欧州中央銀行)に続いて、
「マネーの洪水作戦」に参加しました。
 これは、マラソンで言えば、こういうことでしょう。
スタート直前になって、考え事をしてしまった。
思い悩んでいるうちに、出発の合図は出たらしい。
 気がつけば、スタート地点には、誰もいない。
みんな、5Km先、10Km先を走っている。
 さて、4月19日まで開催されていた、
G20財務相・中央銀行総裁会議においては、
日本の金融緩和と円安について、一定の警戒感がありました。
日本は、そんなに大物のマラソンランナーでしょうか。
 マラソンでは、さすがに5Km先まで先行されてしまうと、
追いつくのは難しいかもしれません。
 もちろん、出遅れてしまっても、悲観することはありません。
5Km先、10Km先を走るランナーに、
どんな変化が起こるかを観察することができます。
 さて、円安についても、一定の警戒感がありますが、
そもそも、ドルやユーロと違って、
円は、ローカルな通貨でしょう。
 基軸通貨であるドルやユーロに「洪水」が起こったら、
それは問題でしょうが、
ローカルな通貨である円に「洪水」が起こっても、
問題はありません。
 それとも、国際金融の紳士たちは、
暗に「円は、裏の基軸通貨である」と認めるのでしょうか。
 ところで、日本の貿易赤字は、
2012年度は、8兆円を超えるものでした。
ちなみに2011年度は、4兆円です。
 常識で考えれば、驚異的な貿易赤字によって、
日銀が何もしなくても、将来、円安になっていくでしょう。
これが、「自然な流れ」です。
 もちろん、世界各国から要請があれば、
「人工的に」円高にすることは可能です。
なにしろ、軍資金は、洪水になるほどありますので・・・・・。
 さて、本から引用しましょう。
「欧州委員会の報告書によれば、
ギリシャやスペインやポルトガルにとって、
実際の購買力などで計算した、
ユーロの実効為替レートは、実力よりも10%も高いという。
逆に、ドイツは3%から5%割安である。
 ここに単一通貨ユーロの難しさがある。
ユーロ導入で、ドイツなどの域内輸出が増え、
それ以外の国の輸出が不利になったからである。
 ドイツの実効為替レートは、
他のユーロ圏に対して、
なんと13%あまりも割安に評価されている。
 ギリシャやスペインなどは、
10%以上も割高に評価されている」
 今回のG20では、視線が日本に向けられていた気がしますが、
本当は、日本ではなく、もっと大きな問題があって、
それを議論すべきではなかったでしょうか。
 G20も、少女漫画のように、
「見たいところは見て、見たくないところは見ない」という世界でしょうか。
 ユーロ圏の崩壊が始まれば、
たとえ日米が力を合わせても、世界経済を支えることはできません。
この崩壊は、リーマンショックをはるかに上回ることになるでしょう。






























































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